2012年11月29日木曜日

[Klip] 世界的投資家ジム・ロジャーズが語った(1)2013年のアメリカ経済と通貨の行方を大予測!

ザイ・オンライン編集部は約4年6カ月ぶりに世界的投資家ジム・ロジャーズのシンガポールの自宅を訪れた。4年前には、サービスアパートだった彼の住まいは、今は近郊の高級住宅街の一軒家となっていた。今回から2回にわたって、ザイ・オンラインの独占インタビューによる、ジム・ロジャーズの2013年の世界経済予測、そして投資戦略を掲載する。

ジム・ロジャーズのシンガポールの自宅。外交官などが住むシンガポール屈指の高級住宅地の一角。シンガポールは借りる方が割安、と賃貸生活をしている  撮影/和田佳久

[参考記事]

投資家ジム・ロジャーズが語った2012年の欧州債務問題、日本株の行方
中国、インド、ブラジル、金…。投資家ジム・ロジャーズが最も強気な投資先は?
 

経済危機が再び起こる、その時こそがチャンスだ   

──大統領選は接戦に白熱しましたが、ついにオバマが再選しました。これからのアメリカ経済はどうなるのでしょうか。

ジム・ロジャーズ 一貫して、米国経済の凋落を予測。早くから中国の成長に注目し、娘が誕生したことを契機に英語と中国語が学べるシンガポールに移住。  撮影/和田佳久

 オバマ再選でアメリカの株式市場はネガティブに反応しています。それもそのはずで、オバマがまた大統領になったところでアメリカ経済は良くならないでしょう。

 アメリカ大統領なんて、オバマがなろうとロムニーになろうと、大統領の友達だけ景気が良くなるだけで国家の景気が良くなるわけじゃないですからね。

 そうなると、これから大統領の友達以外のアメリカ国民はもっと悲惨な状態に追い込まれるでしょう。

 過去から学ぶと、アメリカは大統領選挙が行われる年は必ずと言っていいほど財政支出が最大限行なわれるから、そのしわ寄せは選挙の翌年や翌々年にやってくるのです。

 過去のパターンから見ると、アメリカは選挙の為の財政支出で4年から6年周期で不況に入る。例えば、2002年、2007年と不況になってきたので、サイクル理論から言うと、次は2013年とか2014年にアメリカは不況に見舞われるはずです。

 景気サイクルで見る限り、来年、再来年にはアメリカの景気はもっと悪化するでしょうし、景気が悪化すれば、景気刺激策のために更にドル札は刷られ、債務は膨らみ続けるでしょう。政府が発表する「失業率」の数字も簡単に信じてはいけない。フードスタンプ(アメリカ版の一種の生活保護で食料品との引換券)の発行量は増え続けているのです。


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──アメリカの景気悪化は、世界にどのように波及するのでしょうか。

 これから、日本もアメリカ同様に景気は悪化するでしょう。そして、景気の悪化はそれだけにとどまらず、高い失業率を伴う不景気が世界中に波及していくでしょう。

 ヨーロッパも経済的な危機、それどころか加盟国がデフォルト(債務不履行)する可能性も非常に高い。これから数年以内に世界的な不景気が始まろうとしています

 スペインは来月にでも債務不履行になりそうなくらい危険な状態ですし、イギリスだって危ないのです。

 ただ、この『危機』を投資家として冷静に分析すると、反対側に『 チャンス』に変わるんです。それは、株式会社と違って、国家はお金が無くなってくると中央銀行がお金を刷ることができるというところに違いがあるんです。

──中央銀行がお金を刷るとどうなるのですか?

 お金をたくさん刷ると、今日1ドルのパンが明日2ドルになったりするわけですから、パン一個という物は同じでも相対的にお金の価値は目減りしているということですよね。

 お金の価値が減るということは、物の値段が上がるということです。その物というのは、土地だったり、金だったり、原油だったりという現実的な『モノ』に流れていくんですね。

 そう考えると、更なる金融緩和に向かおうとしている今、投資資金の流入先は紙幣から物� ��、原油、コメ、金や銀などのコモディティ(商品)になります。どんな経済危機でも、投資のチャンスは必ずあるので賢明な投資家ならば、それを見逃すべきではないでしょう。

 世界が金融緩和に向かっている今、最も熱い投資先はコモディティです。もともと需要増供給減の為に需給が崩れて物価が上昇してきているのに、金融緩和で更なる物価の上昇に向かうでしょう。

──それでは、コモディティのなかでもお奨めの投資銘柄は?

 コモディティのなかでも砂糖や綿花などの農産物が、今、投資先としてかなり熱いです。世界中で農家の高齢化が進み、農家自身が減少してきているのです。

 だから、米や砂糖を買うのもいいでしょうし、日本人なら日本の� �地を買って農業を始めるのもお金持ちになる近道でしょう。他に、日本人がお金持ちになるとすれば、水源地を買うことでしょう。

 日本の隣国である中国は汚染と水源地問題で苦しんでいるので、日本に水源地を買い漁りに来ているのはご存知ですか。これは、日本人にとっても大チャンスで、貴方も水源地を買って中国人に水を売ればいいのです。衰退していくアメリカでは無くて、台頭してくる中国のことをもっと学び、上手に商売や投資をするべきでしょう。

──コモディティが有望なら資源国通貨も買いですか?

 もちろんです。資源会社の株を買うのもいいし、資源国通貨を買うのもいい。私は、オーストラリアやカナダのような資源国通貨を今� �っているよ。これらの国は、政治が安定しているし、資源が豊富な国ですからね。

──ところで、ニュースで貴方がユーロを買っていると見かけましたが?

 それは、リーマンショック後にユーロが異常に安くなったから、リバウンドを狙って買っただけでもう持っていないです。

 以前からも言っている通りで、ユーロはそもそも安全な通貨じゃないですからね。現在は、スイスフラン、米ドル日本円を保有しています。でも、それも資産逃避先の安全資産として保有している訳ではなく、ユーロ等の通貨に対する不信感で、皆が米ドルと日本円を安全だと思い込んでいるからです。

 それは事実を反映しているわけでなく、実際のアメ� �カと日本の経済は最悪の状態で本来なら投資する対象ではないです。


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──それは、短期的な投資では、自分の考えよりも大衆心理を読むのが大事だと言うことですか。

 そういう風にも言えます。私はトレーダーのようにタイミングを読むのが得意では無いですが、その代わりに詳細な調査を行って、囲の人がどういう思い違いをしているかを分析します。

 私は、今、米ドルや日本円を安全ではないと知りながら保有していますが、恐らく数年くらいしか持っていないと思います。

 5年後には、さすがに世界中の投資家がアメリカも日本も債務がパンパンに膨れ上がっている国だと気が付くでしょう。

 アメリカの債務は歴史上最悪で、とて� �じゃないけど投資の対象にならない。アメリカ歴史のなかで最悪なのではなく、世界最悪の債務国なのです

 日本は対外債務が少ないにしろ、国民に対する債務が非常に大きいという意味では安全資産だとは言えません。繰り返して言いますが、私は米ドルと日本円を保有しているが安全だからじゃない。皆の安全だという思い込みが解けるころには、私は既にこれらの通貨を保有していないでしょう。

──それでは、スイスフランを保有しているのは安全資産だからですか?

 スイスフランを買っている理由は、スイスの国立銀行がスイスフランをユーロに連動させる発表をした為に実力よりも安くなっているからなんです。

 私の狙いは、今のうち� ��割安なスイスフランを買っておいて、将来、スイスフランがユーロとの連動を廃止した時には、一気に強くなるだろうというものです。

 似たようなチャンスなら香港ドルにもありますね。香港ドルはドルペッグ制の為にすごく割安なのですが、最近ペッグ制を廃止する声も上がってきています。

 その為、香港ドルには投資のチャンスがあるのです。ただしリスクは、人民元が外貨との取引自由になることです。

 そうなれば、それまで人民元に代替する兌換紙幣としての役目を担ってきた香港ドルの存在意義が無くなるでしょう。

次女・ビーちゃんと。4歳になった愛娘とともに、日本とシンガポールの位置を確認する御年70歳のジム・ロジャーズ  撮影/和田佳久

 香港ドルが自由変動制相場になるか、人民元が取引自由になるか、どちらが先になるのか、今はまだはっきりしないので、私は香港ドル人民元も買っています。特に人民元はなかなか買えないので、「人民元を買いませんか?」という電話があれば、できるだけ買うようにしていますね。


※ 兌換紙幣 正貨との交換可能な紙幣のこと。一般的には金や銀を指すが、ここでは外国通貨との交換可能であるという意味。 

… 次回に続く

(取材・文/深田萌絵 撮影/和田佳久)




http://diamond.jp/articles/-/27927

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